二十歳のお祝い (院長)

今年も20歳を対象とした「成人式」や「二十歳の集い」として行われています。今回、成人の日に関して調べ、加えて私が感じたことを記載しました。

1)成人式は蕨市で始まった

成人式の始まりは埼玉県北足立郡蕨町(現・蕨市/わらびし)からでした。

1945年8月に敗戦。そこから一年あまりがたった1946年11月に、埼玉県蕨町の青年団が、「日本の復興は若者にかかっている、がんばってくれ!」との激励の気持ちを込めて「青年祭」を開催しました。これが瞬く間に日本中に広がり、1948年に成人の日が制定され、翌1949年から1月15日が成人の日として祝日になりました。

なお、蕨市では「成人式」ではなく、蕨町当時に行われた第一回の名称をそのまま使い、『成年式』として毎年20歳の祝典を実施しているようです(資料1)。

第1回青年祭

昭和21年11月22日(青年記念日):『成年式』を実施

2)冠婚葬祭の「冠」とは?

「冠婚葬祭」とは一生のうちで最も大事な4つの儀式のことです。「冠」は男性では『元服(げんぷく)』、女性では『裳着(もぎ)』のことをさします。男女ともに髪を整え、男性は一人の大人として、戦にでる、嫁をもらい家庭を構える。女性は大人としての責任を負い、家を支えるということです。公家の男性は冠を授かりかぶるので「冠」と称されたのだそうです。武士は烏帽子をかぶる、庶民でも最低限、月代(さかやき・前頭部から頭頂部にかけての頭髪)を剃り心を固めました。       

明治になり封建時代が終わると、この儀式は庶民の間ではだんだん開催されなくなりましたが、前述の通り蕨町の「青年祭」で復活しました。

3)何故、男性はスーツなのか?

成人式は人生の重要な式典なので、礼装着は一番格の高い第一礼装(黒紋付に袴)になるはずです。しかし、女性の多くが振袖姿なのに対して、男性の黒紋付に袴スタイルはほぼ皆無です。これは明治の開国後に日本が急速に西欧化を進めたことと関係があるようです。西欧人と直接対峙する男性層の衣服の洋装化は早くから進んだため、戦後豊かになっても親が息子の成人式に黒紋付を着せてやろうという、男児の着物ブームが起こらなかったのだといわれています。

4)新成人から感じること

成人の日に街に出ると新成人は一目でわかります。それは、振袖や新しくて馴

染んでいないスーツのためかもしれません。しかし、彼らからは将来に向けた希望や決意とともに強いエネルギーを感じます。新しいことに挑戦したり、今までにない経験をする時、我々には新しいエネルギーが生まれます。

 

おわりに

・20歳そして新社会人になった頃は、皆が新生活への夢や不安を持っていたと思います。現在の日常生活の中でも、そのころに抱いた気持ちを時々思い出して、新しい活力にできればと思っています。

・成人式会場でのTVインタビューで、派手な羽織はかまを着たお兄さんが「いままで親にいっぱい迷惑をかけたので、これから恩返しをしようと思う」と話していました。成人式も一つの区切りとしての意義があると感じました。

 

資料

1)蕨市公式ウェブサイト:

https://www.city.warabi.saitama.jp › sho…

 

2025年1月13日

石川 進