夢は何ですか?  (院長)

子供や学生さんに『夢は何ですか?』と聞けばすぐに答えが返ってきます。しかし、大人になり特に年齢を重ねると、この質問には答えづらくなります。何故なのでしょうか?

Ⅰ.子供の夢

小学生に『夢は何ですか?』と聞けば、実際の自分とはかけ離れていたとしても、『将来の夢=なりたいもの』を教えてくれます。高校生や大学生は、世の中のことが多少はわかっていても、「何かにならねば」という思いから『将来の目標』を語ってくれると思います。夢とは、過去や現在に制限を受けず将来実現したいと思っている事柄です。子供や学生は社会に出るための猶予期間におり、これから未知の未来があるため、夢を語りやすいのだと思います。

Ⅱ.大人の夢

社会にでて仕事を始めると、どうしても実際の生活が主体となるため、かけ離れた目標=夢は見つけづらくなります。また、夢を見る前に現実という大きな壁があるため、夢を抱くこと自体を気恥ずかしく感じるのかもしれません。大人にとっては『将来の夢』ではなく、あくまで『現在の夢』=『目標』が多いのかと感じています。

Ⅲ.大人の夢の見つけ方

大人になっても、『大きな夢』に向かって頑張ることは大切だと思います。しかし、日々の生活では、実現の可能性がある小さな事柄を『夢』と呼びたいと思っています。例えば、「子供の成長」「家族の健康」「毎朝の早起き」「祖父母や孫と温泉にいく」「新しい趣味を始める」「資格を取る」「マラソン大会に参加する」など、何でもよいと思います。夢や目標を持つことで日々の生活に張りが生まれ、小さな夢が叶うことで、次の新しい夢が見られます。

Ⅳ.夢はかなうのか?

子供達の夢は尊重して叶えてあげたいとみんな思っています。しかし、北野武(ビートたけし)氏は独特の持論を述べていますのでご紹介します(資料1)。

「オレは“夢はかなう”という言葉が嫌い。夢はかなわないよ。夢のかなわない自分をどう生きるか。思ったことがすべてかなっちゃったら、人生はつまらない」

親が子どもに本当にするべきことは、「せめて、子供が世の中に出たときに、現実に打ちのめされて傷ついても、生きて抜いていけるだけのタフな心に育ててやるしかない。」

おわりに

・2年位前、ある宴席で後輩から『先生の夢は何ですか?』と聞かれ愕然としました。数年来、夢について考えてない自分に気づいたからです。今日のテーマは自分自身に対する反省と激励です。

・日常生活では小さな目標も『夢』と呼びましょう。その夢を実現しようとすることで日々の生活に活力が生まれます。『小さな夢』を叶えていくことがその先の『大きな夢』につながることを期待したいと思っています。

資料1:全思考.北野 武著.幻冬舎文庫.2009

2024年9月23日

石川 進