新型コロナ情報2024年7月(院長)

現時点では、ニュースや新聞などでは広く報道はされていませんが、新型コロナの患者数が確実に増えています。当院では新型コロナの院内感染は見られていませんが、救急搬送されてきた患者さんの中には感染陽性の方が増えています。また、さいたま市内でも複数の病院で院内感染が発生しています。今回、夏に向けての注意喚起の意味を含めて、感染状況を報告します。

Ⅰ.全国の感染状況

新型コロナウィルスの感染者数は8週連続で増加しています(厚生労働省報告)。6月最終週の新規患者数は全国で2万8016名と前週よりも5860人増加しました。                               定点把握による1医療機関あたりの報告者数(1週間)は、全国平均が5.79人で、埼玉県は6.80人でした。報告数は沖縄が29.91人と最多で、次いで鹿児島(15.42人)、熊本(12.21人)など九州の各県ですが、千葉県は9.17と九州以外では最多となっています。

(図:NHKニュースより引用)。

Ⅱ.新型コロナウィルスの流行時期

病院ブログ(2024年3月4日付)に記載しましたが、今回一部を再掲します。飛沫感染する呼吸器感染症は一般に夏は流行しにくいとされます。しかし、日本では2021年以降毎年夏にも新型コロナの流行が起こっています(図参照)。その理由としては、以下のものがあげられます。

1)日本の気候や習慣といった特殊事情が関係している。

①梅雨の時期は屋内で過ごす時間が長く、夏になると酷暑のため冷房の利いた屋内で過ごす時間がさらに続きます。そのため、換気が不十分となり飛沫感染が起こりやすくなっています。

②夏休みやお盆で人との接触が多くなる:お盆には家族や親戚が集まる機会が増え、夏休みには旅行をする人も増加します。

2)2021年以降、毎年夏に新しい変異株が流入していました。

3)自然免疫やワクチンの効果が不十分である可能性があります。

感染に対する免疫を持つ人は日本では5割以下で、欧米諸国の7割以上と比べて低値です。

Ⅲ.感染を予防するには

新型コロナウィルスでは飛沫感染と接触感染の二通りが主です。飛沫感染は、マスクの着用で予防することが可能です。接触感染は通常行われている手洗いや消毒などで防ぐことが出来ます。

Ⅳ.当院での感染予防策

1)入院時の全員検査:入院患者さん全員にPCR検査を実施しています。

2)職員の就業前検査:家庭内感染がみられた場合や体調不良の時には、就業前にPCR検査を行なって迅速な対応に努めています。

3)面会制限:短時間、少人数(要予約)を継続しています。患者さんやご家族にはご不便をお願いしておりますが、いましばらくの間ご協力をお願い致します。

まとめ     

・梅雨時の感染漸増が夏場の感染急増につながらないよう細心の注意をもって診療を継続しています。

・マスクにより飛沫感染を防ぐことが最も重要で、混雑した場所ではマスク着用は必須です。また、猛暑が続いていますが冷房中でも換気は重要です。

2023年7月7日

石川 進