梅雨時の健康管理  (院長)

今年もまもなく梅雨の季節がやってきます。梅雨時には頭痛や身体のだるさなど体調がすぐれないという人も少なくないと思います。最近は、春からいきなり暑い夏に移る感じですので、少し早めですが記載しました。

1)天候の変化による体調不良(気象病)

気圧や気温、湿度など気象の大きな変化が原因で起こる体調不良を気象病と呼びます。主因は自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスの乱れです。通常は2つの神経が拮抗して働いて体温や呼吸の調節、循環器や胃腸の働き、ホルモンバランスなどをコントロールしています。気象病では以下の様な様々な症状が起こります。

①頭痛、めまい、疲労

②首や肩のこり、関節痛、神経痛、手足のしびれ、古傷の痛み

③うつ、吐き気、集中力・注意力の低下、不眠(心の不調)

④喘息、低血圧、胃腸障害

2)体調不良の起こりやすい時期

通常は、天候悪化時に症状が出現しやすいといわれています。日本における慢性疼痛に関する研究(資料1)では、症状が悪化するのは、悪天候の接近時23.7%、悪天候時24.9%、寒くなる時46.9%と報告されています。いわゆる古傷のある方や気管支喘息の方は、敏感に天候の悪化がわかるようです。

3)体調不良の原因

①気圧の変化

気圧の変化を感知するセンサーは耳の奥(内耳)にあります。その変化は脳に伝えられ、通常は自律神経がバランスを取って作用します。しかし、疲れやストレスなどがあると自律神経の調節がついていけず様々な体の不調につながります。  

②温度や湿度の変化

温度や湿度を感じるセンサーは、皮膚や粘膜、脳や脊髄の中枢神経など、体中のいたるところに存在します。これらのセンサーが温度や湿度の変化を敏感に感じ取り、その刺激が自律神経のバランスを乱すと体調不良につながります。

4)梅雨時の体調不良への予防策

規則正しい生活で自律神経のバランスを整えることです。

①十分な睡眠:体と心を休める

②生活のリズムを整える:早寝早起き、朝食を取る、朝日にあたる

③適度な軽めの運動:散歩、ストレッチ、ウォーキング、ジョギング

④リラックスできる時間:入浴(ぬるめのお湯)、音楽、読書

⑤こまめな体温調節:体を冷やさないー冷房使用時、就寝時

*暑くなってきたら十分な水分をとることが大切です。水分摂取に関しては、病院ブログ“夏の水分補給 2023年6月27日付” をご参照下さい。

まとめ

夏になると、冷房の冷えや暑さに対応するため体温調節機能や自律神経の働きに負担がかかります。梅雨時に体調を崩さないように対策して、元気に楽しい夏を迎えましょう。

2023年5月12日

石川 進

 

資料1:Shinsuke Inoue  Fumio Kobayashi Makoto Nishihara , et al.

Chronic Pain in the Japanese Community–Prevalence, Characteristics and Impact on Quality of Life. PLoS One. 2015 Jun 15;10(6):e0129262.

(和訳)日本社会における慢性疼痛―有病率、特徴および生活への影響