横断歩道にて (院長)
春の全国交通安全運動が5月11日~20日まで行われていました。調べてみると、この運動は昭和23年 (1948年) 、約75年前に始まったようです。私が子供の頃(昭和30年代)には〝交通戦争〟という言葉があり、年間1万人以上が亡くなっていました。その後、様々な施設整備―歩道、信号機、歩道橋、照明、ガードレールなど、がなされ、近年の年間死亡者数は3000人台となっています。
私は車通勤ですので、朝夕運転者となります。横断歩道を横切る際には歩行者に気を付けるようにしていますが、近ごろ若干気になっていることがあります。それは、横断歩道で車を止めた際の歩行者の反応です。私の観察では、概ね3通りに分けられるように思います。第一のグループは、運転手に何らかの挨拶をして渡る人達です。主に小学生ですが、丁寧な子は運転者にお辞儀をしてから手を挙げて渡ります。大変ほほえましく嬉しくなります。横断歩道の渡り方に関して教えている学校もあるようです。二番目は、挨拶はしないものの車の走行を妨げないように足早に渡る人達です。三番目は、車は全く気にせずマイペースでゆっくり渡る人達です。
道路交通法では【横断歩道等における歩行者等の優先の違反】という規定があり、違反には反則金(普通車9000円)や減点(2点)が定められています。しかし、私自身が横断歩道で車を止めるのは、〝事故を起こしたくない〟〝歩行者を傷つけたくない〟という思いからであって、罰則があるからではありません。法律を守ることも大事ですが、実際は運転者と歩行者の暗黙の合意、コミュニケーションの方が大切だと考えています。
最近、時々見かけますが、止まった車には一瞥もしないで、スマホを見ながら当然のごとく横断歩道を渡る青年がいます。また、車は〝止まるのが当たり前〟と考えて、飛び出してくる人もおり、こちらが怖くなることもあります。
日本自動車連盟(JAF)の調査では、信号機のない横断歩道で一時停止をした車は全国平均で21.3%(2020年)で、約8割の車は止まらないのです。
横断歩道での事故を減らすには、道路や施設の整備も大切ですが、やはり運転者と歩行者両方の意識〝気配り〟が必須だと感じています。ちなみに、私自身が歩行者の時は、止まってくれた車に手を挙げて挨拶することにしています。運転者と目を合わせたりお辞儀をすることはありませんが、最低限の礼儀として許容してもらえればと思っています。
今回は、私が普段感じていることに関して書かせて頂きました。皆さんのご意見はいかがでしょうか。
2023年5月20日 石川 進