温泉の効果 (院長)
寒くなると温かい温泉に行きたくなります。温泉で温まって適度な疲労感・脱力感を感じながら、おいしいご飯を食べて布団に入る。このリラックスした時間は最高です。今回は温泉の効果に関して記載します。
Ⅰ.温泉の保温効果
温泉に入ると身体がすぐに温まり(体温上昇効果)、含有成分の効果で入浴後も温かみが持続します(保温効果)。下のグラフは実験で41℃の水道水、塩化ナトリウム泉、炭酸水素ナトリウム泉、二酸化炭素泉に15分間入浴した時の深部体温の変化を表しています。これにより温泉はすぐに温まり、入浴後も冷めにくいことがみられます(資料1)。
Ⅱ.温熱効果による症状改善と有効な疾患
①疼痛緩和:痛みを感じる神経が鈍くなり、痛みを感じにくくなります。
②筋・関節の改善:筋肉や腱が熱で伸びることで緊張が和らぎます。
→関節リウマチ、変形性関節症、腰痛、神経痛など
③血行促進:血液循環が良くなり老廃物が洗い流されます。
→末梢循環障害、冷え性、胃腸機能の低下など
④免疫力増強:深部体温の上昇により、血液中の免疫細胞のひとつNK細胞が活性化されます。
⓹蛋白修復機能:変性した蛋白を修復し疲労回復や健康増進に役立ちます。
Ⅲ.温泉療法
温泉療法とは温泉に入浴、あるいは飲用、吸入することなどによって体調を調え、傷や疾病などを治療する医療法の一つです。 温泉のうちで、特に療養に役立つ泉質を持つ温泉を“療養泉”といいます。温泉の種類(泉質)に関わらず共通する『一般的適応症』と、泉質別に厚生労働省が定めた『泉質別適応症』があります。『泉質別適応症』では症状に応じた温泉の選びの参考となります(資料2)。効能として宣伝されている症状としては、アトピー、痔疾、胃腸病、リウマチ、腰痛、神経痛、高血圧症、火傷などの外傷、骨折、精神疾患などがありますが、一部の疾病や症状の方では禁忌症があるので注意が必要です。
Ⅳ.温泉による心理的効果
Ⅴ.サウナの医学的効果
*注意:サウナは以下のような状況や症状の方では推奨されていません: 飲酒後、食事後、妊娠中、重度の心疾患、発熱、蕁麻疹などの皮膚疾患
私は熱がりなのでサウナ未経験ですが、ぜひ一度“ととのう”気分を味わってみたいです。
おわりに
・昭和の時代、職場などの団体旅行が盛んで、私たちも病院旅行などで毎年温泉に行っていました。しかし、主目的は宴会と歓楽街であり、温泉を堪能した記憶はありません。これからは、ゆっくり温泉自体を楽しみたいものです。
・温泉療養は2~3週間程度が効果的とされていますが、実際に休みが取れる方は少ないと思われます。短期間でも心と体のリフレッシュ目的に温泉を楽しむのもよいかと思います。
参考
資料1:温泉の温熱効果で健康になろう!! 日本温泉協会 (spa.or.jp)
資料2:温泉療養のイロハ:環境省(自然環境局)ホームページ
付録:私の好きな温泉地
草津温泉(群馬県)・西の河原露天風呂
まさに温泉中の温泉(The SPA)です!
2023年12月5日
石川 進