皮膚の乾燥とかゆみ (院長)
外来で『肌がかゆいので塗り薬を下さい』との要望がよく出てきます。皮膚に湿疹がないことをまず確認しますが、多くの場合は皮膚の乾燥に伴うかゆみです。今回は、皮膚乾燥の原因と日々の対策に関して記載します。
1)年齢による皮膚の変化
加齢とともに皮膚の脂分が減少するため、若い頃のようなてかてかした感じはなくなります。同時に皮膚は乾燥してきます。下図は年齢による変化ですが、
皮脂量は30歳以降急速に減少し、50歳以降は皮脂量、水分量ともに低値となります。
皮膚の構造
2)皮膚は外側から皮脂膜(脂分)、表皮、真皮の3層からできています。
一番外側の皮脂膜が壊れてくると、外からの刺激(紫外線など)により、内部の水分が蒸発してしまいます。加齢により皮膚の水分・脂分が減少するため、カサカサした肌になりかゆみが生じます。
*肌のバリア機能:肌の角質層にある機能で水分を保ち、外部刺激から皮膚を守ります。
3)日常生活でのかゆみ対策
皮膚の表面からの対策
①石鹸をなるべく使わない:石鹸を使うことで皮膚の脂分がさらに減ってしまいます。私は、石鹸が必要なのは股間だけかと考えています。
また、タオルやあかすりなどで皮膚を強くこすることは禁忌です。
②保湿剤の使用:皮脂膜の補強として、皮膚の表面を保護して水分の蒸発を防ぎます。かゆみ対策としては、市販の大衆的な保湿クリームで十分です。高価な製品を購入する必要はありませんが、美容を兼ねる場合は別途ご検討下さい。入浴後は一時的に皮膚の水分量が増加しますが、30分経過以降は急速に水分量が減少するため、保湿剤は入浴直後に使用することが大切です。
身体の内部からの対策
③日常生活:紫外線を避ける、バランスの良い食事、質の良い睡眠、定期的な水分補給(食事以外で、一日2Lが目安)など、いわゆる体調を整えることが大切です。
4)皮膚に変化がある場合
まずは皮膚科医師に相談して、原因を見極めてもらうことをおすすめします。皮膚科疾患としては。アトピー性皮膚炎(アレルギー)、接触皮膚炎(かぶれ)、蕁麻疹(じんましん)、水虫・白癬症(カビ)、あせもなどがあります。内科疾患としては、糖尿病、慢性腎不全、甲状腺機能亢進症・低下症、更年期障害などがかゆみの原因となることがあります。
まとめ
1)かゆみ対策の第一歩として、石鹼使用の制限と保湿クリーム塗布を行ってみて下さい。石鹸の使用を減らすことで、多くの方でかゆみが減少しています。
2)薬店では種々のかゆみ止めがありますが、当初は副腎皮質ホルモン(ステロイド)の入っているものはなるべく避けて下さい。効果はありますが、休薬後の再発も多くみられます。
2025年2月24日
石川 進