直言・徳州新聞2025年4月7日 (院長)

さいたま記念病院は2024年12月1日より、徳洲会グループの一員に加えていただきました。今回はご挨拶を兼ねて、当院の紹介、自己紹介と私の考え、当院の課題と目標などを書かせていただきます。

当院は、埼玉県さいたま市内の東部に位置する見沼区(人口約16万人)にある二次救急指定施設です。市の中心部である大宮区、浦和区からは車で20~30分の距離にあります。病床数は199床(一般病床104床、回復期リハビリテーション病床55床、医療療養病床40床)です。職員は総計344人で、医師は常勤6人、非常勤80人、看護職員99人、薬剤師8人、臨床検査技師 7 人、臨床放射線技師6人、リハビリテーション科32人などコメディカルに事務職です。

私は群馬県高崎市出身です。自治医科大学を卒業後、群馬大学の外科に入局しました。外科研修の後、30歳で群馬県のへき地にある診療所の所長として勤務しました。35歳の時、心臓血管外科の道に進み、群馬大学病院、オーストラリアのメルボルン大学附属病院、帝京大学病院、都立墨東病院で手術や救急診療に携わってきました。さいたま記念病院には22年12月に入職し、23年4月より院長を務めています。

職員間の連携が取りやすく患者さんにとって良い環境

これまで大小の医療施設に勤務しましたが、一貫して抱いてきたのは、患者さんに頼りにされる医師・医療施設になりたいという思いです。心臓血管外科医としては、手術で治療を完結することが役割でした。緊急手術では、いつも緊張しましたが、無事に終了した時の達成感を医師、看護師、臨床工学技士などのチームで共有できました。

へき地の診療所では、自分一人で治療を完結できない場合が多々ありました。しかし、遠方(車で約2時間)の大病院に行かなくても、診断と初期治療は自院ですませたいと考えました。診療所を選んでいただいた患者さんに応えるには、「医療の質」が重要と感じ、可能な範囲内の検査設備(X線透視装置、内視鏡、超音波、血液生化学検査など)を導入しました。

さいたま記念病院では検査・入院設備があり、各職種のスタッフがいます。また、相談すれば、すぐに助言をしてくれる医師、看護師やコメディカルたちがいます。中規模病院であるため、職員間の連携が取りやすく、患者さんにとっても、職員にとっても良い環境だと感じています。

患者さんから「まずは行きたい、診てもらいたい」と、選ばれる病医院が、地域の中心的な医療施設だと私は考えます。施設の大小は問わず、立地条件や規模に応じた最善の役割を果たしていくことが重要です。さいたま市見沼区内で、急性期医療を主に掲げているのは当院のみですが、現時点では、地域の要請に十分に応えられていません。今後、当院が地域の中心となるには、解決すべき多くの課題があります。

 具体的な課題と目標を以下に示します。

①<職員の意識改革>日常業務の円滑な継続に加えて、「さらに良くする方法」を工夫し、新しい考え方や業務に挑戦することが必須です。また、病院を前に進めていくには、新しい力が加わることも重要です。

②<救急対応の改善>徳洲会の理念の一つである「断らない医療」を目指します。同時に、かかりつけ患者さんや地域医療機関(とくに診療所)からのご紹介を優先的に受けいれる方針も続けたいと思っています。これは、私の診療所医師としての経験に基づく考え方です。当院で検査・治療が完結できない時には、対応可能な医療機関を探すことで、「医療の質」の維持が可能となります。

③<地域連携の強化>地域の中核病院、診療所や各種施設との協調が重要です。他院の先生方にとって連絡が取りやすく、かつ信頼できる存在となることで、地域全体としての医療の充実に貢献したいと思っています。

医療者にとって最も大切なことは「患者さんのために」という一言

私たち医療従事者にとって最も大切なのは、「患者さんのために」という一言です。今後も患者さんに頼りにされる医療施設になれるよう努めます。現在は、徳洲会グループの本部機能をもつ一般社団法人徳洲会やグループ病院のお世話になっている状況です。近い将来、些少なりとも恩返しができるよう、努力してまいります。至らぬ点は、その都度、ご指導を賜れれば幸いです。

皆で頑張りましょう。

2025/4/7

さいたま記念病院 院長

石川 進

 

(付録)さいたま記念病院の夜桜