昨日未明、「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還しました。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)のプロの技術力にあらためて感心しました。「当たり前のことを当たり前に行う」のが私のプロの定義です。言い訳を言わずに成し遂げる、というのは医療現場では意外と難しいものです。医療の不確実性をつい口に出してしまいがちです。
今回はNHKの特別番組を録画し、朝起きてから映像をみました。流れ星のように静かに流れていました*。
* http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20201206_fireball/
10年前(2010/6/13)の初代「はやぶさ」の帰還は、時刻がもう少し早かったため、寝ずにユーストリーム中継を見ていました。通信途絶、電源喪失、燃料枯渇、姿勢制御不能など幾多の困難を乗り越えて帰ってくるというのです(「言い訳」でもありました)。オーストラリアのあの暗黒の空に、あの時刻に、本当に現れるのか、半信半疑でした。それが、突然、大きな火の玉となって画面に現れ、やがて分裂し四散して消えました*。興奮しました。実は、初代「はやぶさ」は本体も落下し、私たちが見た大きな火の玉は本体が燃え尽きる姿でした。イトカワの採取試料の入ったカプセルは分裂前に本体から切り離され、消えることなく小さな点となって地上に落ちていきました。それは後の解説で知ったことです。燃え尽きた初代「はやぶさ」の最期に、潔さを感じました。
*https://www.youtube.com/watch?v=O0mUyfjYQng
今回の「はやぶさ2」は違っていました。リュウグウの試料の入ったカプセルだけを落とし、本体はまた宇宙に旅立って行きました。静かに去って次の仕事に向かう姿にカッコよさを感じました。宇宙技術の10年間の進歩を思い知らされました。
医師として何10年やってもさほどの進歩がない我が身を反省しました。同時に、初代「はやぶさ」の潔さだけでなく、「はやぶさ2」の前向きの姿勢も少しは見習おうと思いました。