先週から今週にかけて、かぜを引きました。
もともと気管支喘息を45年患っていますので、気管支に及ぶとまずいことになります。かぜを引いたら早めにステロイド(プレドニゾロン)を開始するように喘息かかりつけ医の呼吸器内科専門医からずっと言われています。しかし、今回は鼻汁と咽頭痛、嗄声までで、気管支まで達せず咳が出ませんでしたので、ステロイドは控えていました。ステロイドを飲むと高血糖になるのでできれば飲みたくないというのが本音でした。
いつもだと数日で治る鼻炎や咽頭炎、喉頭炎は意外と長引き、やがて耳管閉塞が起き、ついに両側とも難聴になってしまいました。普段は咳が出だしてから飲むステロイドをこの時点、すなわち、鼻炎発症6日目から使い始めました(プレドニゾロン初日30mg、2日目以降20mg/日)。しかし、耳管閉塞は良くなったものの、鼻炎、咽頭炎、喉頭炎はあまり改善せず、加えて気管支へと炎症が広がり、ステロイドでも咳が止まらなくなりました。ついに発症9日目に呼吸器内科専門医と耳鼻咽喉科専門医の診察を受けました。2人の医師から「もっと早く診せるように」と叱られました。耳鼻咽喉科の診断は好酸球性中耳炎と好酸球性副鼻腔炎、細菌感染合併でした。呼吸器内科医からはプレドニゾロン20mg/日をあと4日続けること、耳鼻咽喉科医からは抗菌薬を1週間飲むこと、の指示をいただきました。

その日の夜、「上流の医療〜アレルギー性鼻炎と耳管機能の障害〜」という大宮医師会医学講座がありました。我が身に起きていることとして真剣に拝聴しました。演者は、はりまざかクリニック院長・順天堂大学客員教授の三輪正人先生。病気は上流で対策を取らないといけない、というのが講演主旨でした。その上流にあるのが上皮のバリア機能だというのです。アトピー性皮膚炎における皮膚バリア機能障害、気管支喘息における気管支上皮障害、2型糖尿病における腸管上皮バリア障害(→インスリン抵抗性)などを挙げて、上流でのバリア機能保持の重要性を強調されていました。鼻腔粘膜でいえば、低湿度環境(地球温暖化と室内環境の変化に基づく乾燥)によるドライノーズ(乾燥鼻)がバリア機能障害を惹起しているとのことです。対策は鼻クリーム。耳管機能障害も耳管粘膜のバリア障害によるとのことです(これには耳管ジェル注入が有効とのこと)。
色々理論的なことはあっても、まずは今の症状を早急に解決しなければいけません。ステロイド内服4日目でかなりの改善が出てきました。

しかし、血糖値は悲惨です。私には耐糖能異常がありますので、フラッシュ血糖モニタリング(フリースタイルリブレ®︎)を1年半にわたって使用し、日頃の自分の血糖値をモニターしています。ステロイド服用前2週間と服用後4日間のデータをグラフに示します。ステロイドを飲むと高血糖になるのは分かっていますので、炭水化物の摂取量はいつものおよそ2/3にしています。それでもこの血糖の上がりです。高血糖よりも気道炎症のコントロールが優先されることを今回痛感しましたが、それでもこの高血糖には愕然とします。

図.ステロイド服用前2週間の血糖パターン(青・黒)と服用後4日間の血糖曲線(赤)。ステロイド服用中は炭水化物の摂取制限をしても平均血糖値は110mg/dLから144mg/dLと31%も高くなっている。