前回の続きです。

アメリカ人のご主人が面白いことを言いました。
「アメリカと中国、どちらが勝つと思いますか。私は中国だと思います。なぜだと思いますか。指導者の違いです。トランプは最低です。しかし、だからという訳ではありません。オバマもそうでしたが、公的組織を治める経験なしにいきなり国のトップになれるのがアメリカです。一方、中国は、習主席のように、市の幹部、省のトップを経て国の指導者になる、つまり公職の階段を一つ一つ昇っていくのです。組織のまとめ方を知り、それを実践し、公職のトップに立ち、さらにその上のトップになっていくのです。これでは指導力に差がつくのは当然です。最後は中国が勝ちます。」
隣の中国人の奥様が心なしか得意げに頷きます。

う〜む、そうかな、そう簡単な話かな。州知事からアメリカ大統領になったのもいたはずだけど。確信がなく、うまく反論できませんでした。
悔しまぎれに次々質問を放っていきました。
「オバマのような『素晴らしい』大統領のすぐあとに、Youの言う最低の大統領をアメリカはなぜ選んだのですか?」
「Youは前回の大統領選挙ではヒラリー・クリントンに投票したのですか?」
「ヒラリーなら本当に良かったとYouは言えるのですか?」
「Youは次の選挙でトランプが再選されると思いますか?」
「最低の大統領が再選されたらYouはどうするのですか?」
「再選されても4年すればトランプは大統領ではなくなります、そのあとにYouは期待しますか?」
「こんなアップ・ダウンのあるアメリカは私には信じがたいです。これから先アメリカはどうなるとYouは思いますか?」
詳細は省略しますが、全ての質問に丁寧かつ明快かつ的確に答えてくれました。

議論の最後は、米中どちらが勝つかの話に戻りました。
もちろん中国だというのが御夫妻の共通の答でした。その理由は、冒頭にあった国のトップを選ぶシステムではなく、人口の差だというのが本音でした。
「3億人と13億人との差ね。」
ご主人は少しうつむきながら、奥様は大いに胸を張って、同じことを言いました。
家庭内では勝負ありのようです。

「大宮はいい街だ」は何度も出ました。日本の国としての話題は最後まで出ませんでした。
政治家ではないからまあいいか。議論好き相手の議論にはちょっと息抜きが必要です。ワインを楽しむことにしました。