メンタル・ヘルス

テニスの大坂なおみ選手が全仏オープンのシングルス1回戦勝利後、記者会見を拒否しました。そのため主催者から1万5千ドルの罰金が科せられました。

事前に会見拒否の意思を告げた5/27(日本時間)の彼女のツイッターによれば、アスリートのメンタル・ヘルス(心の健康)に配慮しないプレスへの抗議とともに、記者会見を拒否すれば罰金を科すという主催者への反発があったようです(罰金はメンタル・ヘルスの慈善事業に使って欲しいと最後に述べていました)。

この大坂選手の言動について、日本のある新聞は「“心の健康” 共感少なく」というタイトルで批判的に報じました。記事の中では、男子テニスのトッププレーヤー、スペインのナダル選手の言葉「メディアの存在なしで今の立場や人気はない」を引用していました。
5/27の大坂選手のツイートに対し、彼女のメンタル面を心配する声や支援するコメントがある中、世界からは「記者会見も仕事の一部である」、「プロとして質問をこなす術を見つけるべきだ」という厳しい意見も寄せられていました。

その後、大坂なおみ選手は6/1のツイートで数年来うつ病にかかっていることを告白しました。さらに、他の選手がテニスに集中できるよう自分は全仏オープンを棄権すること、メンタル・ヘルスという言葉を安易に使ったわけではないこと、自分はもともと内向的だったこと、今回の発表のタイミングが不適切でメッセージも伝わりにくい内容だったこと、すでに主催者にはお詫びしたこと、しばらく競技を休み大会終了後に関係者と話し合いたいこと、選手・プレス・ファンみんなが良い方向に向かうよう願っていること、を伝えていました。
このあと、大坂選手への共感が今度は増えたように思われます。

一流の選手であれば精神はタフのはず、タフだからこそ一流になれたはず、と一般には思われています。私もそう思ってきました。
今回の件がきっかけでアスリートのメンタル・ヘルスの問題が多く論じられるようになりました。その議論をみていくと、プロもアマも同じ、さらにスポーツに限った話ではない、と思われてなりません。
そう言えば、多弁で強い性格と思っていた人が悩みを一瞬見せたあと変わり果てた姿になったことを思い出します。
人が悩みを吐露したときは、それが誰であろうと、事情が何であろうと、詳しいことは分からなくても、決して否定するのではなく、最大限の支援をしてあげることが大切のように思います。