今の病院に来てしばらく、外来も入院もほとんど関わることはなかったのですが、6月下旬以降、ようやくどちらも多く診ることができるようになりました。ベテラン医師の急な退職に伴うものですので、本当は喜んでいる場合ではないはずですが。

ともかく、外来は消化器内科と総合診療の枠を担当し、入院はリハビリ病棟のうち運動器疾患の患者全員と、一般病棟のうち自分が救急で受けた内科患者を受け持っています。
消化器の外来は比較的慣れていますが、総合診療の外来、リハビリや内科の入院は少し勝手が違って戸惑うことも少なくありません。
しかし、もともと内科を勉強するために当院に赴任して来ましたので、その目的は達成できそうな気がしてきています。もちろん、専門の先生がたの指導を受けながらのことです。

「総合診療」という雑誌を購読し、リハビリテーション医学会に入会しました。地元医師会の内科部会と外科部会に入り、週に1-2回、夜の講演会に出席しています。内科関係では、睡眠医療、肺癌の画像診断、循環器疾患(Fabry病)、糖尿病性腎症を受講しました。
今後は、「心房細動・脳卒中・心不全の予防」、「認知症における薬物療法・非薬物療法二刀流の対応」、「欠食と糖代謝異常について」、「生体リズムを考慮した2型糖尿病」、「大腸がん内視鏡スクリーニング」、「最新のC型肝炎治療と残された課題」などが夏まで続きます。

内科をあらためて勉強して感じるのは、内科学は臨床医学と称すべき基本領域であるということです。
内科は、外科あるいは外科系、あるいは小児科・精神科などと領域を異にするという考え方、さらに内科の中に消化器・循環器・脳神経・呼吸器・腎臓・内分泌代謝・リウマチ膠原病などの専門領域が含まれるという考え方は、違うのではないかと思うようになりました。
Harrisonの Internal Medicine(内科学)を読んで思うのは、これはInternal Medicine(内科学)ではなくClinical Medicine(臨床医学)だということです。このClinical Medicine(臨床医学)を学んだ上に外科があり、整形外科があり、眼科があり、精神科があり、小児科がある、という考えです。
従来の内科専門領域の消化器内科、循環器内科、呼吸器内科などは外科、小児科、精神科等と並存する形になるのではないかと考えるのです。現行の新専門医制度が示す診療科体系(図1)は旧来の考え方であり、私の考える臨床医学と診療科の関係(図2)が今回の新しい提言です。

医学史を紐解けばこの考えは決しておかしくはないと思うのですが、いかがでしょうか。

旧い考え(図1)

新しい考え(図2)