ゴールデンウィークは1泊2泊の小旅行を除き第122回日本外科学会定期学術集会をひたすら聴講しました。特別企画6「医療安全を支えるNon-Technical Skills」を紹介します。
医療安全は医療に必須です。今までの医療安全は医療の知識と技術が基本でした。つまり、Technical Skills(技術的手技)が医療安全の根幹でした。外科については言えば手術そのものでした。しかし、手術に限らず医療の安全性は医療者の知識と技術だけでは達成されません。技術的手技以外で医療の安全性に関わるのがNon-Technical Skills(非技術的手技)です。近年とみに注目されています。具体的には、チームワーク、リーダーシップ、コミュニケーション、情報共有、意思決定過程などです。過去の医療事故の反省に立ち、非技術的手技の重要性が医療現場では重視されるようになりました。コミュニケーション不足から思わぬ医療事故が起きていた、とういうことです。
ではどうすべきでしょうか。
2時間、このセッションを聴きました。
聴き終わって、少し疑問が残りました。
外科が単に技術の世界でないことはとうの昔に分かっていたことではないか。
それを技術的だ、非技術的だと分けて論じる必要が果たしてあるのか。
技術的手技の誤りは案外、外科医自身の気づきではなく、例えば看護師から指摘されて初めて分かる場合もあります。技術的だ、非技術的だと分ける必要は本当にあるのでしょうか。
今回の報告を聴いて感じたのは、結局、テクニカルと思っていたこともノンテクニカルと思っていたことも突き詰めると同じではないか、でした。演者のひとりは私の教え子でした。高い評価の発表でした。「でも次を考えようか」と画面に語りかけました。
私の言いたいことはこうです。
医療安全には患者の視点を入れることが求められています。患者参加があっての医療安全です。これは私だけの主張ではありません。
患者も医療安全に関わるべきだと主張し始めたのは、医療事故の被害者からでした。その経緯はとても残念ではありますが、よくぞ言って下さったと私は頭を下げます。「患者参加+医療安全」をググると、多くの提言が出てきます。
私は自分の辛い体験と懺悔から「患者参加の医療安全」を支持しています。