昨日、改正健康増進法が一部施行されました。新聞でも大きく取り上げられました。
一昨年(2017年)から昨年(2018年)前半にかけて繰り広げられた厚労省と自民党たばこ議員同盟とのバトルを思い出します。

当時の厚労大臣塩崎恭久氏の「正論」(科学的に立証されている受動喫煙の被害は、対策も科学的になる)は医療関係者から多くの支持を得ました。
しかし、最後は政治的妥協となり、たばこ議員連盟に押し切られる形で決着しました。既存の中小の飲食店(客席面積100平米以下、全飲食店の55%)では喫煙が「例外的に」認められたからです。
当初の厚労省案30平米以下だと、喫煙が認められるのは10%のはずでした(東京都は条例で国よりも厳しい30平米以下としました)。

当時、私は茨城総合がん対策推進計画(第4次計画)の策定メンバーの1人でした。
通常であれば、まず国のがん対策推進基本計画が6月ごろに閣議決定され、それに基づいて7月以降、各都道府県で次年度から5-6年間のがん対策推進基本計画が作成されるのです。2018年度からの県の計画は、2017年6月頃に出る国の基本計画を参考に作成していかなければならないのに、国の計画は7月になっても8月になっても9月になっても出てきませんでした。
最大・唯一の理由は、受動喫煙対策をどう取り扱うか、でした。受動喫煙対策は健康増進法の改正とも絡んでいましたので、揉めに揉めたのです。それが冒頭に挙げた厚労省vsたばこ議員連盟でした。

茨城県は国の右往左往ぶりとは関係なく「正論」を基に対策を立てていきました。
そしてようやく国のがん対策推進基本計画(第3次計画)が閣議決定されたのは2018年3月9日のことでした。新年度からのがん対策推進計画が実行に移される3週間前だったのです。
改正健康増進法は2018年7月に国会で成立し、1年後の昨日7月1日に一部施行(学校・病院・児童福祉施設等、行政機関の施設内禁煙、敷地内原則禁煙)、2020年4月1日に全面施行の予定となりました。
その一部施行だけで新聞を賑わせたのですから、生ぬるい規制だと思っていても、それなりにインパクトがあるのだと改めて思いました。

厚労省を一生懸命応援したのに妥協してしまったことで、厚労省の関係者に強く抗議したことがあります。
その時、彼が言ったのは「確かに妥協しました。ただ、飲食業は店の入れ替わりが激しいので、いずれ新規開業になればほぼ全て禁煙となる。少し待って欲しい。政治家と戦うにはこうした妥協も必要なことを理解して欲しい」でした。
なるほどと思いました。
一方、新規開業なのに事業継承と称して旧基準のままとする抜け道もあるのかも・・・。