昨夜、遠藤睦子(ちかこ)先生がご挨拶に来られました。栃木県からわざわざ車で埼玉まで来て下さいました。5日後に日本を飛び立ち、オランダ・フローニンゲン大学肝胆膵外科に2年間留学するとのことです。
遠藤先生との最初の出会いは茨城県でした。多くの手術を一緒に行いました。診療方針をめぐって議論しました。意見の相違があったのも事実です。とくに術後合併症に対しては批判的な意見をはっきり述べられるのが印象的でした。患者側に立つ姿に私はむしろ感銘を受けました。
一方、そうした経験の中で若い外科医は悩みます。自分の目指す医療とは言えない、という気持ちが芽生えます。やがて私たちから離れ、オランダに渡りました。なぜオランダだったのか。趣味の馬術に関わりながら外科医としての目標を探る滞在だった、とあとから聞きました。1年余りで日本に戻るとき、これからのことで相談を受けました。
私は、自分の以前の職場である栃木の自治医科大学消化器一般移植外科を勧めました。
「私の後輩たちがきっと面倒を見てくれるよ。それぞれ皆、同じような純粋な思いで集まって臨床に教育に研究に、何よりも患者のために、一生懸命しかし楽しく仕事をしているところだから」。
その通りだった、と昨夜聞きました。
2度目のオランダでは、クリニカル・フェローすなわち上級医の立場で外科診療にあたるとのことです。
日本から海外に留学する場合、多くは教授や先輩のツテを頼ります。しかし遠藤先生はそのルートを断り、自分の望む留学先を自分で開拓しました。
多くの私の疑問(なぜ・どうやって)に答えて下さいました。
留学にはお金が必要です。自施設や相手先、学会の奨学金が得られればよいのですが、競争率は高く、容易ではありません。そのため留学資金を自分で稼がなければなりませんでした。訪問診療や療養施設でのバイトにも従事してきたとのこと。私は、バイトであっても訪問診療や療養施設の経験はよいことだと思っています。その経験は留学とともにきっと将来の糧になるよ、と伝えました。
2021/3/25のブログで別の飛翔を紹介しました。
昨夜は、再び地球儀を思い描きながら、新たな飛翔を目撃することができました。舞い戻ってくるときが楽しみです。
体に気をつけて、と言い添えました。