福島県郡山市に星総合病院があります。
昨年の秋、理事長の星 北斗先生と都内の会合で知り合いました。
「明日、全国自治体病院学会に参加するため郡山に行きます。」
そう話しかけると、「うちの病院をぜひ見てください」とお誘いを受けました。
「私は中国に行かなければならないので、事務長に伝えておきましょう。」
翌日、郡山に向かい、学会の合間を使って当時の看護局長と一緒に病院を見学しました。事務長が案内をしてくださいました。
デザインの美しさが際立つ病院でした(図1)。ヘリポートのある外来棟の奥には、十字形の入院病棟があります。病棟の周りは日本庭園が造られていました。職員やボランティアの手作りだとの説明がありました。外来棟の手前には、リハビリ保育施設と付属看護学校(ポラリス保健看護学院)があります。リハビリ保育施設には温泉プールがあり、職員も利用できるジムが整備されていました。付属看護学校には立派な講堂(メグレスホール)が付設されています。木工技術を駆使したホールの壁に息をのみました(図2)。外来棟の2階は職員室となっています。職員の机は、柱や仕切りのない1つの広い部屋にまとめられていました。医局も看護部もこのなかにありました。理事長室と院長室はガラスで仕切られているだけでした(図3)。合同職員室からは中が丸見えです。隣の会議室もガラス張りでした。
地域医療への熱い思いを聞きました。救急医療にも熱心に取り組んでいました。医師は研修医もベテランも数多く集まっていました。訪れた日の午後からは市民公開講座「心不全」がメグレスホールで開かれていました。
この星総合病院が先日の台風で水害に見舞われ、1階部分が床上浸水しました。CTやMRIなどの医療機器が使えなくなり被害総額は25億円に上るとのことです。1メートルの盛り土をした上に病院を建築したそうです。郡山市のハザードマップによればこの地区の浸水の深さは1メートル未満となっています。水害対策はそれなりに取られていたことになります。残念ではありますが、前向きで明るい、チームワークのとれた職員のかたがたを思い出すと、必ず再起していただけると確信しています。
図1.星総合病院全景(グーグルマップより)。今回水が溢れた逢瀬川が上方に見える。
図2.メグレスホール。付属看護学校の入学式・卒業式のほか、市民のためのコンサートやイベント、ライブなどが開かれる。