律儀な花です。秋分の日が近づくと郊外でよく見かけるようになります。
一昨日の日曜日、関東平野は台風一過の晴天でした。病院に少しだけ寄りました。途中、稲穂の波のきわに赤い花の群生を見つけました(写真)。
恵まれない別名の多い花です。しかし、その律儀さには好感が持てます。
私の生まれ育った埼玉県飯能市の北隣を流れる高麗川(日高市)には、群生地として有名な巾着田(きんちゃくだ)があります。
中学〜高校時代、巾着田は私にとって休日の散策コースの通過点でした(2020/11/16ブログ参照)。故郷を離れてだいぶ経った頃、あの巾着田が曼珠沙華の景勝地になっていることを知りました。そうだったのかと思い、秋の一日、出かけてみたことがあります。とんでもない風景でした。たしかに、川沿いの林間に赤い絨毯がありました。が、巾着の真ん中は広大な駐車場に変わり、車と人で大混雑でした。
それからまた年月が経ちました。昨年と今年はコロナ感染拡大防止のため開花前に刈り込まれたとのこと。人が訪れないようにするためだそうです。切ない気持ちになります。
私は彼岸花の名のほうが好きです。しかも、ポツンポツンと長閑(のどか)に咲いているのが好きです。亡くなった父母や多くの患者さんを思い出す縁(よすが)になります。車で通り過ぎるとき、心でそっと手を合わせます。