昨夜、東埼玉大腸がんフォーラムに参加しました(場所:獨協医大埼玉医療センター)。
2つの講演を聞きました。吉川総合病院内科の小島一人先生が民間病院での大腸がん化学療法の現状について、東京大学腫瘍外科教授の石原総一郎先生が直腸がんの最新治療について話されました。
40年近く前、自分の専門領域を大腸外科にするか胆膵外科にするか散々迷ったことがあります。
結局、後者を選びましたが、大腸には未練がありました。25年前、腹腔鏡手術が大腸領域に及んだとき、胆道系で一歩先を行っていたことを生かし、大腸の腹腔鏡手術に関わるようになりました。その10年後には大腸内視鏡外科は大腸外科医が独自の道を切り開いていくことになり、私は離れました。
そんな過去の軌跡を思い起こしながら講演を聞いていました。
がん治療薬は免疫チェックポイント阻害薬の登場でまた一歩進みました。手術はロボットが定着してきました。しかし、がんの治療はどうあるべきか、という点では、昔も今もそう大差はないということも分かり、なぜか安堵もしました。
それにしても、最近の日本での大腸がんの急増は驚くべきものがあります。女性について言えば、がん死亡のトップは大腸がんです。男性は第3位ですが、もう数年で胃がんを抜いて第2位になります。
日本人の遺伝子がこの数十年で変わったとは思えません。喫煙率も下がっています。となれば、生活習慣、なかでも食生活の変化が原因だと言わざるを得ません。
具体的には、食事での脂肪・肉類の増加と、食物繊維・野菜果物の減少です。また、運動不足も大腸がん、特に結腸がんのリスクを上げます。
大腸がんの治療の進歩は目覚ましいものがあります。それでも、がん死亡は抑えられないどころか増えているのです。予防にもっと目を向けるべきだと思います。もちろん、早期発見・早期治療のための検診も忘れてはいけません。