10月12日(土)〜13日(日)に襲った台風19号は全国に甚大な被害をもたらしました。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
12日(土)、私どもの病院では外来受付を午前10時半までとし、11時以降の外来予約患者には10時半までの来院あるいは別の日への変更をあらかじめお願いしました。当直医を除き医師には11時以降帰宅を許可しました。
問題は、入院患者・病院施設保全のために夕方まで勤務する職員と夕方に出勤する職員の安全確保でした。
台風の最接近は夜9時ごろと予想していましたので、夕方の勤務交代については特別の指示を出しませんでした。私自身は、12日(土)午後2時半に病院を離れました。風雨はそれほどでなく、自家用車で無事帰宅できました。ところが、帰宅後テレビでチェックしていたところ、午後4時半、埼玉県に大雨特別警報が出ました。
特別警報は「直ちに命を守るための行動をとること」を意味します。ただし、埼玉県内では秩父などの山側に大雨特別警報が出されたのであって、平地のさいたま市に出されたわけではありません。しかし、当院の所在する見沼を始め市内には、天沼、海老沼、蓮沼など沼地を表す地名がたくさんあります。川の氾濫などの水害は当然予想されます。暴風警報も出ていました。今回は全員無事でしたが、出退勤途中での被災はあり得る話です。
停電などの施設保全の備え・覚悟はできていても、職員を守ることについては不十分だったと反省させられました。
台風の進路予想は19号発生当初からほとんど変わらず、その正確さに驚かされます。接近日時もかなり正確でした。予知能力が上がってきていますので、今後の病院対応に生かすべきだろうと思います。
クリニックであれば休診にすればよいと思います。しかし、救急受け入れをしている病院では救急外来を閉めるわけにはいきません。入院患者がいれば、職員は休むわけにはいきません。介護・福祉施設でも同様のことが言えます。
特別警報が出たとき(出ると予想されたとき)、病院職員の安全をどう確保するのか。「直ちに命を守るための行動をとること」に対し職員にはどう指示すべきなのか。
ネットで調べましたが、病院としての休診判断に関する情報はあっても、職員への対応をどうするかは見つけられませんでした。
試案として、気象予報に従って勤務交代の時間をずらすことを提案したいと思います。さらに、早くに出勤してくる者、遅くまで退勤できない者には時間外手当を出して対応すべきだろうと思います。
翌13日(日)朝、風が強く吹き、晴れ渡っていました。病院に向かいました。病院は落ち着いていました。
駐車場は前日朝から駐車禁止としていました。何度か車の水没事故があったからです。午前の陽の中、駐車場は水溜りもなく、コンクリの路面にうっすら泥を被った痕があるほか一見、何ごともなかったように静まっていました。
ところが、駐車場の脇のプレハブ会議室が床上浸水しており、事務職員が清掃していました。よく見ると駐車場の柱に浸水の痕跡が残っていました(図、矢印)。膝上の高さまで水が貯留したと思われました。病院の建物自体は、駐車場よりもだいぶ高く嵩上げされていますので、被害がありませんでした。
病院も職員もともかく無事だったことに安堵しました。一方、単なる偶然でしかなかった、とも思われました。肝に銘じておくべきだと思いました。