病床の逼迫(ひっぱく)、超高齢化の現実

新型コロナウイルス感染の蔓延とともに病床が逼迫してきました。県内のコロナ病床はほぼ埋まっています。
コロナ重症者を多く受け入れている埼玉医科大学総合医療センター(川越市)の感染症科・感染制御科・岡 秀昭教授は12/10のツイッターでメッセージを送りました。
「おそらくこのままなら来週に重症化したら、ステロイド入れてダメなら諦める。諦めてもらう。自分の親でも。偉い政治家でも。深い怒りと哀しみを抑えながら現場を死守するでしょう」。
重症者が回復して重症ベッドが空くのが理想です。しかし、重症者の治療は難渋しています。回復してベッドが空くことにあまり期待できません。死亡すれば重症ベッドが空き、新たな重症者をすぐに受け入れることができます。このほうが回復者を待つよりはるかに効果的です。残酷な現実です。

当院は無症状〜軽症例を受け入れています。職員とくに看護師が頑張って協力してくれています。しかし、患者が高齢化しています。超高齢化と言ってもよいと思います。
これに関連して2つの問題が生じています。

ひとつは、超高齢者だと軽症であっても重症化のリスクがあることです。重症化したらどうすればよいか。県との約束では高次機能の病院に転送することになっています。しかし、その高次機能の病院の重症者病床が逼迫しています。ということは、軽症例が中等症さらに重症になっても転院できない可能性が出てきます。中等症になった患者の転院に手間取ったことが既にありました。病床の逼迫がそれほど深刻化していなかった頃です。直近の状況からするとさらに厳しい予感がします。
転送が間に合わなくなったときのことは考えたくありません。あり得なかった事態「命の選別」が起きるのは間違いないからです。

もうひとつの問題は院内感染の懸念です。超高齢患者を受け入れると、看護は手間がかかります。訪室頻度が増え、接触時間が長くなり、密接度が高まります。個人用防護具をいくら適正に装着しても感染リスクは高まります。
当初、超高齢患者の受け入れに躊躇しました。しかし、県内の非常に厳しい状況をみると拒否できません。

看護師の不安が高まっています。今までも体調の異常が少しでもあれば、看護師に限らず職員にはPCR検査を受けてもらってきました。年末の今、それ以上の対応が求められています。