総務省から地方交付税の2019年度の配分方針が発表されました。
昨日の日本経済新聞北関東版によれば、普通交付税の不交付団体(税収が良いために国からの交付税を必要としない自治体)は、茨城県4市村、栃木県と群馬県は各1町でした。
北関東3県の6市町村がなぜ不交付なのか分かりますでしょうか。私は、北関東3県のいずれの県庁所在地にも住んでいましたので、手に取るように分かります。企業立地が盛んな所や原子力施設がある所ばかりです。栃木県の上三川町は今年度、不交付団体から交付団体に格落ちしました。地元で自動車製造を行なっているN社の会長不祥事によります。
埼玉県はどうでしょうか。同じ日の同じ新聞の首都圏埼玉版に報じられています。不交付団体は4市町でした。数年これは変わっていません。いずれも物流の拠点を構える企業からの税収が順調だったことによります。
それでも、上記4県のうち群馬県を除く3県では、財源不足を補う国からの地方交付税は前年度比1.2 – 3.4%増となっています。要するに、益々増える赤字補填を国にしてもらうということです。
10年ほど前、県立病院の赤字経営を県議会で厳しく追求される立場にありました。これほどの赤字補填は何とかならないのか、と追求されました。
次のように反論しました。
診療報酬という国の定める最低売値の制度では、売れる医療に高値は設定できません。通常のビジネスでは、売れる商品に付加価値をつけて高く売ることができます。それによって会社の収支をよくするのです。これを経営と言うのです。保険診療をする限り、それができません。それが病院経営なのです。そもそも医療は経営とはいえないのです。経営を何とかしろ、という要求自体おかしいのです。ビジネスの常識が通用しないからです。民間病院はちゃんとやっているではないかとおっしゃいますが、民間は損をすることはしない、稼げるところしか手をつけないから何とかやっていけるのです。それでも、利益率は良くて数%あるかないかです。公立病院はそうはいかないのです。それに、そもそも、県自体が赤字経営をしているではないですか。市町村でも、原子力や大企業の恩恵を受けている自治体だけが黒字なのです。県も全体では赤字ではないですか。だから赤字補填を国から受けているではないですか。なぜそれを問題にしないのですか。県立病院の赤字だけを責めるのはどうかと思います。
もちろん、言い過ぎたところはありました。
それでも、自治体経営と病院経営とは似たところがあります。さらに言えば、国の経営も同じです。
現代金融理論(MMT)もどきの金融緩和策で札束を刷りまくっている間は、地方交付税もしばらくは入ってくると思います。社会保障費の増額に合わせるためには確かに仕方ないように思えます。でも、病院経営と同じく、その先にあるのは破綻です。自らの経験に照らせば、破綻への道を確実にたどっているように思えてなりません。