オミクロン株が増え始めた今年1月、感染力は強いものの重症者はそう多くならないと思っていました(2022/1/31ブログ)。
しかし、誤算がありました。
ワクチンの効果が薄れているのは分かっていました。感染者数が桁違いに多くなったのも想定内でした。重症化率が低くても分母が増えれば重症者が出てくるのは覚悟していました。
誤算は高齢者施設のクラスターです。しかも一斉蜂起的に多発したのは想定外でした。
面会禁止のはずですので、職員から広がったと思われます。職員の健康管理は厳格だったはずです。感染防護も厳密だったはずです。それでも広がってしまいました。
第5波のデルタ株ではワクチンが奏功し、高齢者はワクチンで守られました。第6波のオミクロン株は2 回のワクチンでは不足でした。3回目が勧められていましたが、間に合いませんでした。
誤算を悔いても始まりません。今後に生かすのが私たちの責務です。
高齢者は熱が出るだけで状態が悪化します。施設入所者はハンディを既に背負っています。飲み込む力が落ちると誤嚥性肺炎で重症化します。食事が摂れなくなり、筋力も認知能力も低下します。治療に難渋するだけでなく看護・介護の負担が増えているのが現状です。現場の様相は第5波と明らかに異なります。
それでも高齢感染者の入院要請が相次ぎます。
先日、埼玉県主催の「新型コロナウイルス感染症患者受入れ体制の確保に関する会議」がオンラインで開かれました。施設からの入院要請は県全体で毎日200件以上あるそうです。うち受け入れてもらえるのは半数とのこと。確かに由々しき事態です。
当院ではコロナ病床が空いていれば可能な限り受け入れます。他の病院も限界を感じながらも協力しています。それでも「さらなる受け入れ」を県はお願いしてきました。コロナ以外の患者が犠牲にならないか、限界以上の受け入れは医療安全の点で問題ではないか。悩みは尽きません。
新規発生数はピークアウトしつつあります。あと少しの辛抱のように思います。もうひと頑張りしてみます。