新型コロナウイルス感染症への対策として、どの病院も現在、病棟での面会を禁止していると思います。
一方、そのために問題も生じています。
1つは、「会えない」ことが患者と家族に及ぼす影響です。患者は生きる喜びを、家族は会える楽しみを、奪われています。
もう1つは、医療者と患者・家族との関係です。病状が悪化しているとき、急変したとき、説明が十分に尽くされていませんので思わぬ誤解や医療不信を招きます。
(元)土浦市副市長の小泉裕司氏が茨城新聞の論壇(2020/4/11)に「悲しすぎる現実に翻弄」を書いていました。
母親が入院し、入院の要因だった病気は治癒したものの、後に判明した骨折で入院が長引いていたとのこと。その間に、新型コロナウイルスの院内感染防止対策が実施され、突然の「面会謝絶」となったときの驚きが綴られています。
面会謝絶後もスマホで母親と連絡を取り合っていたそうです。しかし、徐々に食事を受け付けなくなり、点滴のみとなり、89歳の誕生日を過ぎた直後から携帯の呼び出しに応じなくなって1週間後の早朝、病院から急変の連絡を受けました。取るものも取りあえず病院に駆けつけましたが、急逝されました。その後、新型コロナウイルス感染への不安が募る中での葬儀のことに触れていました。そして「一連の経験を通して」と小泉氏は続けます。「感染しお亡くなりになられた方、ご遺体との面会さえかなえられなかったご遺族の悲しみ、悔しさはいかほどのものか想像に難くない。悲しすぎる現実に翻弄されている」。
最後に、歌手の森山直太朗が土浦市立真鍋小学校の校庭で満開の夜桜をバックにライブで歌った「さくら」を、心に染みる熱唱だったと述べていました。
病院に対しての言葉はありませんでした。