昨夜、帰宅途中、ニュースウオッチ9のトップニュースで真鍋淑郎先生のノーベル物理学賞受賞を知りました。恥ずかしながらお名前を存じ上げませんでした。業績を聞いて納得しました。
渡米して60年余り、アメリカ国籍を取得し、現在90歳でプリンストン大学上席研究員とのこと。アメリカの大学・研究所が90歳でもなお研究員として採用しているのに驚きました。通常であれば「名誉」の肩書が付くところです。
もちろん肩書は本筋ではありません。現役かどうか、です。
90歳で現役、しかも他者の評価を得る、というのは誰でもできる訳ではありません。
先日、90歳になろうとする造形作家 伊藤公象先生の新作個展のことを述べました(2021/10/2ブログ)。
昨年は、外科学の恩師 森岡泰彦先生が90歳で査読論文を世に出したことをお伝えしました(2020/10/12ブログ)。
共通するのは好奇心です。真鍋先生もインタビューで強調されていました。
私事で恐縮です。父も好奇心が旺盛でした。
38歳で外科医院を開業し、自院での手術を80歳まで行なっていました(2020/3/26ブログ)。手術はやめても外来診療は続けました。90歳のときのカルテがあります(図上)。
平成10年10月31日(土曜日)午後5時30分、木材を右足に落とした患者を診察しました。局所に皮下溢血がみられます。足の骨のX線を自分で撮影し、暗室に入って自分で現像しました。病名は「右第一趾 趾骨骨折」。X線所見はRißfraktur、処置はSchienefixationとドイツ語で記載しています(それぞれ亀裂骨折、シーネ固定のこと)。ボルタレン坐剤を処方したことが分かります。翌11月1日(日曜日)、休日加算をとって再診しています。11月22日、転帰「治癒」となりました。
この2年後、92歳のとき「老齢に相成り」として医院の廃止届を出しました。しかし好奇心は衰えず、医療に関する新しい言葉や事柄をメモ帳に書き込んでいました。それは100歳近くまで続きました(図下、96歳のときのメモ帳の一部)。