先週の土曜日、久しぶりに休みをとりました。以前(2019/11/8)にも紹介した美術家 藤原隆洋氏の作品を観るためです。甲府に向かいました。
インスタレーション「In the Wind」は山梨県立美術館の建物と建物の間の三角スペース(ミュージアムコート)に展示されていました。300本の細いテープを張った作品です。三角スペースだからこそ独特の立体像が生まれます。
作者の言葉です。
「山梨の葡萄畑は、周囲の山々とともに四季折々に美しい景観を創り出し、目を楽しませてくれる。人為が自然の持ち味を損ねることは少なくないが、人為が自然と調和したとき、美しい風景となる。そのことを改めて感じられる作品にしたいと思った。
ここミュージアムコートは、美術館南館とレストランに挟まれた三角形の中庭で、公園へとつながる。私にはこの空間が、山々に囲まれ広がる甲府盆地の光景と重なり、傾斜地に広がる葡萄畑をモチーフにフォルムを描いた。
作品が生み出す様々な現象は、収穫前の葡萄棚下で感じた心地よい現象だ。屋根状に広がる大きな葉の隙間から差し込む眩しい日の光、照らしだされるたわわに実るぶどうの房、風で揺らぐ木漏れ日と葉陰。ミラーテープは、周りの景色を映し、光を反射させ、風によりテープは揺らぎ、1本1本不規則な動きを続け、光は波紋のように館内の壁面にまで届く。
視線の高さや位置によって作品の見え方は変化し、時間帯や天気、風の強弱によっても様々な表情を見せる。青空と紅葉する木々が映り織りなすブルーとゴールドに輝く様はこの時期ならではの姿だろう。私の作品をきっかけに鑑賞者の方々の知覚や想像力を刺激し、ひとりひとりにそれぞれの「景色」が展開されることを願う」。
個人的に聞いたところ、テープはコーティングされたポリプロピレン製。
外科医なら誰でも知っているプロリーン®︎という縫合糸の素材です。切れず、伸びず、期待に応えてくれる糸でした。
「In the Wind」では、ポリプロピレンのテープは1本1本、張力や捻れを微妙に変えてあるとのこと。微風・強風、日向・日陰、晴れ・曇り・雨、明け方・昼間・夕方・夜、雑木林の葉の色などで色や動きが全部異なります。音も違います。作者の許可をもらいましたので、静止画1枚と動画2本でご紹介します。多様な姿はぜひ現地でご覧ください。12/12までです。å
山梨県立美術館に行ったもう1つの目的は、藤原氏が主催するワークショップに参加することでした。会場に行ってみると参加者は子どもとその母親ばかり。一瞬ひるみましたが、意を決して参加しました。
ひとりひとりのそれぞれの雲を牛乳で描くというものでした。子どもの作品は自由でのびのびしていました。私の出来は今ひとつ。素材を家に持ち帰り再挑戦することにしました。