6月2日(日)夜のNHKスペシャルは衝撃でした。
スイスでは一定の手続きをして厳格な審査で認められれば、安楽死ができるというのです。多系統萎縮症という難病を患った日本人女性がスイスで安楽死するまでを密着取材した番組でした。
一方、同じ病気でも生き続けることを選んでいる別の日本人女性も取材していました。
いずれの患者さんもご家族も、テレビカメラの前に素顔を出して取材に応じていました。
何よりも衝撃だったのは、スイスでの死の直前から直後までがビデオに実写されていたことです。
この番組に対しては放映直後から様々なコメントがネット上に寄せられています。スイスの医師が準備した致死量の点滴を患者自身がクレンメ開放でスタートさせたから、安楽死ではなく自殺幇助だという意見もありました。
避けてきたテーマが一気に議論の俎上に乗った感がします。
何よりも映像の凄さを感じました。子供(未成年者)に与える影響はどうなのか。あの実写はなくてもよかったのではないか。放映の前にもう少し議論を深めておいたほうがよかったのではないか。これを利用できる体力も金もない人はどう思うだろうか。そもそも自死を認める「苦痛」の基準とは何だろうか。広く自死を促すことにならないだろうか。色々考えてしまいました。
もう1つ注目したのは、スイスの医師が「スイスに住んでいればこれほど早く安楽死を選択しなかっただろう」と述べていたことです。
社会としてもっと前にやるべきことがあるということを示唆していると思いました。一方で、死に値する苦痛の基準は絶対的なものではない、ということを図らずも言っているようにも思えるのです。