先日の日曜日、話題の映画「PLAN 75」を観てきました。監督は早川千絵45歳、主演は倍賞千恵子80歳。
75歳以上は自分の意思で安楽死を選べる法律が日本で成立したという架空の現代話です。私も来年75歳。架空とは言え興味をそそられます。
私と同じ思いで来ているのでしょうか。7割埋まった観客席には、やはり高齢のおひとりさまや夫婦が目立ちます。中年夫婦、なかには30代と思しきカップルも何組かいました。両親と一緒の20代男性の姿もありました。
最初から残酷な場面が続きます。アウシュビッツを連想させるシーンもありました。「超高齢化の日本にようやく明るい兆しがみえてきました」という華やいだ声のニュースが何とも残酷です。その中にあって「良心」を垣間見るシーンがいくつも挟まれていきます。命を繋ぐ展開にもなっています。最後に、映画の狙いは助け合いと希望だと思うようになりました。安楽死をテーマにした作品ではありませんでした。
朝日新聞のコラム「ひと」が早川監督を紹介していました(2022/6/20*)。
*https://digital.asahi.com/articles/DA3S15328913.html
監督の思いがうかがえる箇所があります。
「記者会見で尊厳死の是非を問われた際には『この質問に答えることには疑問を覚えます。死については他人が何か言うことではないと思う』と応じた。」
若者にこそ観てほしい映画です。
特に印象に残るシーン。PLAN 75を推進する市役所の若手職員の叔父がプランに応募してきたときのこと。部屋の整理を甥が手伝っていると何冊もの献血手帳が出てきました。死に赴く叔父は、かつて全国のトンネル工事に従事しながら各地で献血を繰り返していたのです。
もうひとつ。倍賞千恵子の今の歌声が聞けたのも嬉しいことでした。