(1)薬を服用する時間は特に決まりはありませんので、以下の時間を目安にしてください。
「食前」 → 食事開始の約30分前
「食直前」 → ご飯の準備がすべて整い、食事を始めようとするとき
「食直後」 → 食事が終わりごちそうさまをするタイミングで
「食後」 → 食事終了後30分以内
「食間」 → 食事終了後約2時間
あくまでも目安です。ある種類の糖尿病の治療薬は「食直前」に、食事に含まれる成分のリンを除去するための薬は「食直後」に、体内から有害物質を除去するための薬は「食間」に服用しないと、十分な効果が得られない場合や副作用が起きてしまう場合もあります。医師や薬剤師の指示は守って、安全に薬を使いましょう。
(2)のみにくい薬があったとき
カプセルが喉にくっついてのみにくい、錠剤が大きすぎて喉につかえそう、といった経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。
薬には、苦みや刺激性のある成分をのみやすくするための工夫や、体内で長時間にわたり有効成分を放出させるような工夫がされているものもあります。
カプセルを外したり、錠剤を割ったりつぶしたりすると、それらの工夫が無効になったり、逆に作用(患者さまにとって好ましくない作用の場合もあります)が強く出たりする場合もあるので、注意が必要です。
のみにくい薬があったら、薬剤師にご相談ください。
(3)薬をのみ忘れたとき
薬によって対処のしかたが異なります。薬剤師にご相談ください。
(1)のみ薬や湿布薬は、直射日光の当たらない、涼しく、湿気の少ないところに保管してください。
(2)シロップなどの水剤や坐薬あるいは冷所の指示のある目薬は、冷蔵庫に保管してください。
また自己注射用のインスリン製剤やリウマチ治療薬も冷蔵庫に保管してください。冷蔵庫内では、扉の内側のように温度が変化しやすい場所、あるいは冷気が直接当たる場所は避けてください。
(3)前もってシートから1錠ずつ切り離して準備することは危険ですからやめましょう。
誤ってシートごと飲み込んでしまって、けがをした報告が後を絶ちません。
誤飲を避けるためにも、1錠ずつ切り離しての保管はやめましょう。
(4) 1回にのむ薬の数が多いあるいは家族がシートから取り出して準備することが必要な場合など、服用前の準備が大変な時は「一包化」について医師にご相談ください。
錠剤をシートから取り出した状態で保管することは、衛生的ではありません。また、薬によっては、光や湿度によって薬効成分が変化することを防ぐために、シートのまま保管することが大切なものもあります。
最近では、口腔内崩壊錠(唾液など少量の水分で容易に溶けて飲みやすくなっている錠剤)も増えています。口腔内崩壊錠は、シートから取り出して時間が経つと、吸湿などにより効果がなくなる場合もあります。
一包化に用いられるポリエチレンフィルムには、遮光・防湿の効果があります。毎回のおくすりの準備が大変な時は、ぜひ「一包化」の指示をもらってください。
どの薬局を利用するかは、患者さまが自由に決めることができます。
かかりつけ薬局では、薬歴(おくすりの服用記録)をつけているので、薬の重複投与(同じ効果の薬が二重に処方されること)や相互作用(薬ののみ合わせ)による副作用などの健康被害を未然に防ぐことができます。
(1)お薬手帳は、1冊にしましょう。
医療機関を受診するときは、いつでもお薬手帳を持参しましょう。
複数の医療機関を利用していても、1冊のおくすり手帳にまとめて記録をしてもらうことが大切です。
おくすり手帳を持参すると、医師や歯科医師あるいは薬剤師は、あなたがどの医療機関で・どの薬を・どのくらいの期間服用しているかを知ることができます。その結果、おくすりの重複処方を避けたり、のみ合わせを確認したりできます。
(2)災害時や、旅先での急病やけがの場合にも薬の服用記録がわかると大変役立ちます。
(3)薬を使って気になる症状が出たら、薬の名前と症状をおくすり手帳に書き留めておきましょう。
薬をのんだり、注射をしたり、外用剤を塗布したり湿布等を貼付した時に、発熱、発疹・発赤や気分不快など気になる症状があった時は必ず、医師(歯科医師)並びに薬剤師に、直接その情報を伝えましょう。
また、おくすり手帳が新しくなった時、その情報を書き写しておくことが、薬の副作用などからあなたを守るうえでとても大切です。
薬剤師は、「気になる症状」「今までの副作用やアレルギー歴」「病歴」などの情報を患者さまにお伺いします。その情報から、薬が患者さまに合っているかを判断します。ですから、
などについて、ぜひ教えてください。
処方されたおくすりのことや、わからないことがありましたら、遠慮せずにわかるまで質問をしてください。
医薬品は新しく作られて販売されると、しばらくは特許があるために、他の会社は同じ成分の薬をつくることができません。しかし、特許期間が終了すると、どの会社も同じ成分の薬をつくれるようになります。これがジェネリック薬です。
ジェネリック薬は、薬の開発に費用がかかっていないため、製造コストを安くすることができます。したがって同じ成分であるにもかかわらず安価で提供されます。
すべての薬は、薬効をあらわす主成分のほかに、薬をつくるために必要な添加物が含まれています。
ジェネリック薬は、発売前の試験で、最初に発売された薬(主成分が同じ薬)とほぼ同等の効果があると認められた薬です。
しかし、添加物は製薬会社ごとに異なっているため、効き目に微妙な差が生じることがあります。ジェネリックに変更した後、気になる症状がありましたら、製造会社の変更をふくめて、薬剤師に相談してみましょう。
すべての薬にジェネリック薬があるわけではありません。また、ジェネリック薬はあるけれど変更しない方がよい場合もありますので、医師や薬剤師と相談してみてください。